屋上緑化工事のポイント

キーポイントは土壌の作成

 屋上への緑化工事に当たって、幾つかのポイントを考えて見たい。屋上に植栽を設置するためには、計画段階から十分な検討が必要で、それらの課題をクリアーしておかないと、後々クレームの発生につながりかねない。しかも一度施工してしまうと改修工事がしにくいため、なおさら計画時の検討が最重要である。

^荷重制限
 建築物はその使用目的に応じて、全体の構造計算の中でスラブの荷重計算が行われ、制約が設けられている。客土厚、排水層などの重量が荷重制限をクリアーできるかチェックする必要があろう、計画時には、計画される緑化の重量を計算し構造計算時に考慮できれば理想的であろう。

_排水層とドレーン
 緑化することによって、雨水の調整にはなるが、客土下の排水層は重要なポイントである。排水が不能になると、植物の根は根腐されを起こし、枯れる原因になる。さらに排水された雨水はドレーンに導かれ排水される構造になっているが、ドレーンが詰まると防水層からの漏水の問題も懸念され、そのようなことのないよう、常にメンテナンスできるようにしておかなければならない。

`植物生育のための客土厚の確保
 高木・低木・地衣植物などは、それぞれ根の大きさがあり、植栽後も根の伸長により植物も成長する。その生育に必要な客土厚および全体の容積を確保する必要がある。少ない土厚に無理して植栽しても、良い結果は得られない。

a乾燥対策
 コンクリートスラブ上で限られた客土厚であることによる乾燥は、自然の地盤に比較して特に激しい。保水効果の高い土壌を考え、散水設備の設置などを考慮する必要がある。

b風対策
 高いビルでの屋上緑化では、かなりの強風になると考える必要がある。さらに周囲に高層ビルがある場合なども強いビル風の影響があると思われる。この場合、低木ならまだしも高木の場合には、アンカーや支柱を設置するなどの配慮が必要となろう。

c施工期と荷揚
 屋上に緑化する工事は、建築工事全体からすると、最終段階に入って施工を行うというのが普通だろう。したがって、資材の荷揚げの方法などは十分に検討しておく必要がある。さらに造園工事の特殊性で、植栽の適期の問題がある。建設工程の中で、必ずしも植栽に最適の時期に行えるとは限らない。そのため、植栽材料は早めに準備し、不適期にでも植栽に対応できるように処置しておく必要がある。

d維持管理の省力化
 植物が正常に生長できる土壌をつくることが大切である。施肥、剪定、整姿、病虫害防除などの通常メンテナンスは最低限必要だが、土壌に十分配慮すれば、特にメンテナンスに手間のかかるものではない。しかし、異常乾燥対策のために散水設備は必要である。

 以上が屋上緑化工事のポイントであるが、その中でも屋上緑化のキーポイントは土壌の造成だろう。樹木の生長に必要な客土厚は、高木で100cm、低木で40〜60cm、地被植物で20〜30cm程度である。また透水・保水・通気などの問題も含め、土壌材の選定も重要となる。最近では軽量のパーライトが出回っているので、このような土壌材を有効活用し、土の選定を行う必要がある。



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